病理医ぱそ太郎の病理と日常

温泉好きのふつーの若手病理医、ぱそ太郎が病理、医療などについて日々考えることを綴ります。有益な情報を発信できればと思います。ぱそ太郎Lab.

胃粘膜への沈着症

日々標本を診る中で不思議な形態に出会うことがあります。

標本を見ていると、その部の病変の判断だけでなく、その人がどんな薬を飲んでいるか・・など全身の状態がわかることがあり、これは病理医の醍醐味とも言えますね。

例えばこの例はいかがでしょうか。

 

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胃粘膜で見られた結晶様の好塩基性の構造物です。

これは、カリメート (ポリスチレンスルホン酸カルシウム)です。高カリウム血症の既往がある透析患者さんでした。このように、単なる胃生検の内視鏡検体から、全身疾患・状態が予想できることがあります。

ちなみに、ケイキサレート (ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)も類似の像を示します。

今までは、雑誌や教科書では薬剤関連消化管病変について、まとめてあるものは少なく、文献をあたる必要がありましたが、昨年4月の「胃と腸」にこういった病変がわりとまとまって載っており重宝します。

胃と腸 2016年 4月号 主題 薬剤関連消化管病変

胃と腸 2016年 4月号 主題 薬剤関連消化管病変

 
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