日々標本を診る中で不思議な形態に出会うことがあります。
標本を見ていると、その部の病変の判断だけでなく、その人がどんな薬を飲んでいるか・・など全身の状態がわかることがあり、これは病理医の醍醐味とも言えますね。
例えばこの例はいかがでしょうか。
胃粘膜で見られた結晶様の好塩基性の構造物です。
これは、カリメート (ポリスチレンスルホン酸カルシウム)です。高カリウム血症の既往がある透析患者さんでした。このように、単なる胃生検の内視鏡検体から、全身疾患・状態が予想できることがあります。
ちなみに、ケイキサレート (ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)も類似の像を示します。
今までは、雑誌や教科書では薬剤関連消化管病変について、まとめてあるものは少なく、文献をあたる必要がありましたが、昨年4月の「胃と腸」にこういった病変がわりとまとまって載っており重宝します。