病理医ぱそ太郎の病理と日常

温泉好きのふつーの若手病理医、ぱそ太郎が病理、医療などについて日々考えることを綴ります。有益な情報を発信できればと思います。ぱそ太郎Lab.

病理医の様々なキャリア、病理医も開業できる時代が来る?

大学教員・勤務医・開業医

一般に医師のキャリアは様々で、大学でスタッフ(教員)として働く、市中病院で勤務医として勤務する、あるいは開業する、というのが3大メジャーな進路で、あとは、産業医や行政、矯正医療などなど、これらに進む人は少数ですが、様々な進路の選択肢があるという感じだと思います。

病理では?

病院の中央部門(病理や放射線科、麻酔科)の診療科の医師では開業という選択肢はメジャーではなく、大学でスタッフとして働く人や市中病院で勤務医をする人が多いように思います。

病理では、伝統的に従事している人数に比して、大学の教員枠が多い(基礎の病理の教室が複数あったり、さらに臨床の病理の教室もあったりする)ということもあり、大学でスタッフをしている、という人が比較的多いように思います。またこれには、大学院に進む人が比較的多いことも関係していると思います。

一方、普通の市中病院では病理医の人数は、一握りのハイボリュームセンターを除けば、一人か二人というところばかりでしょう。しかし、都市部では病理医が常勤している病院もそれなりにあり、市中病院勤務の病理医というのも、全国ではそれなりの数がいます。また、ある程度規模以上の病院は、検体検査専従の医師を置くことが保険診療上の需要もあり、病理医が、病理診断から臨床検査全般に軸足をうつし、検査科の医師となるケースもあります。

病理診断科診療所開業について

このように、大学あるいは市中病院の病理診断科勤務医というのが病理医のメジャーな2つの進路と思われますが、最近では病理診断科の診療所を開業する病理医、というのも少数ですが、存在しています。この病理診断科開業については、今までは、制約が多く現実的でない点が多かったのですが、平成28年の診療報酬改定で大きな変化がありました。それは、「保険医療機関間の連携による病理診断」の要件の見直しにより、保険医療機関としての病理診断科診療所が診断を受託する際に、委託元病院や診療所が病理標本作製機能を有していなくても、標本作製のみ院外の登録衛生検査所に委託することで、その検査所で作成された標本を病理診断科診療所が受託するという、連携病理診断が成立するようになった、ということです。

これが何を意味をするかというと、地域に病理診断科診療所を開業すると、地域の他の臨床科の病院や診療所の診断を、保険医療機関同士の関係で受託できるというものです。

しかし、病理診断科診療所開業には様々な解決すべき問題点や課題があり、決して、病理医が開業できる=バラ色の未来ではありません。

 

病理開業シリーズは以下にまとめています。

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病理医の将来像を考える上で、病理開業とAI (人工知能)は重要なキーワードと思います。

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病理開業の話題で切り離せない、病理診断と病理学的検査をめぐる諸問題についてもまとめています。

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