病理医ぱそ太郎の病理と日常

温泉好きのふつーの若手病理医、ぱそ太郎が病理、医療などについて日々考えることを綴ります。有益な情報を発信できればと思います。ぱそ太郎Lab.

皮膚科医・病理医におすすめ 皮膚病理の教科書 (和書編) その2

皮膚病理の教科書 おすすめシリーズです。前回からの続きです。

(前回の記事はこちらです。)

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皮膚病理の教科書、あるいは皮膚科の教科書で病理についても詳しい教科書というのは、他の領域と比べて充実しており、良い本が多いと思います。「その1」のエントリーでは、臨床診断から病理組織像を調べるのに有用な教科書、病理組織像から鑑別を考えるときに有用な本、皮膚軟部腫瘍、皮膚リンパ腫でおすすめな本というような切り口で皮膚病理の教科書を紹介しました。今回は、著者別に皮膚病理のおすすめ教科書を紹介します。

 

 ・病理医にも皮膚科医にもおすすめ、本当に有名なみき先生シリーズ

みき先生の皮膚病理診断ABC〈1〉表皮系病変

みき先生の皮膚病理診断ABC〈1〉表皮系病変

 

表皮系病変、付属器系病変、メラノサイト系病変、炎症性病変の全四部作です。持っていない人はいないと思われるほど普及していると思います。鑑別がかなりクリアカットに記載されており、よく診る疾患のvariantについても詳しいです。典型的な像以外によくあるvariantにについて書かれていることも多く重宝します。日常よく出会う基本的な疾患を最初に勉強するには最適ではないでしょうか。例えば、脂漏性角化症と尋常性疣贅の鑑別など、本当に詳しく書かれています。

 

・臨床写真と組織像が美しく、わかりやすくて感動する大原アトラス

大原アトラス2皮膚付属器腫瘍

大原アトラス2皮膚付属器腫瘍

 

有名な大原先生のアトラスです。豊富な臨床写真とそれに対応する組織像、ダーモスコピー像が詳しく載っています。豊富な症例集とそのクオリティーの高さにただただ圧巻です。一つの疾患について典型例だけでなく、バリエーションも豊富にのっています。ダーモスコピー、皮膚付属器腫瘍、皮膚悪性腫瘍、皮膚外科手術アトラスという4巻がいまのところ出版されています。病理医の視点からは皮膚付属器腫瘍がこんなに、たくさん臨床的なことも含めて勉強できる本は他にはなく、この付属器腫瘍の刊がお気に入りです。また、第一巻のダーモスコピーの刊は皮膚科の先生が病理依頼書に書く、ダーモの所見を調べるのに有用です。

 

・わかりやすいイラストと用語の定義から詳しい説明、特に炎症性疾患の理解に最適

皮膚病理イラストレイテッド〈1〉炎症性疾患

皮膚病理イラストレイテッド〈1〉炎症性疾患

 

雑誌Visual dermatologyの連載を単行本化したもので、Visual dermatologyの今山先生の連載は今も続いており、ぱそ太郎も愛読していますが、その連載をまとめたこの皮膚病理イラストレイテッドは本当にわかりやすく、非常におすすめです。イラストがわかりやすいだけでなく、解説も本当に勉強になり、用語の定義についても詳しいです。例えば成書による液状変性と空胞変性の定義の違いやそもそもの記載の有無についてなど、比較して記載されていたり、痒いところに手が届くような記載がたくさんあり勉強になります。病理医だけでなく、皮膚科の先生にも人気が非常にある本と思います。

 

・皮膚血管炎といえば陳先生ですね。

皮膚血管炎

皮膚血管炎

 

 これも必携です。皮膚型PNと表在性血栓性静脈炎は実際の診断場面で悩まされますが、その鑑別について詳しく記載されています。

 

皮膚病理の教科書おすすめその2のエントリは著者別おすすめシリーズでした。

その1はこちらです。

www.patho-spa.com洋書編はこちらです。

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