前回までは皮膚病理の教科書について、和書の紹介をしてきました。
皮膚科や皮膚病理は他の領域に比較し、優れた和書がある分野と思います。
しかし、少なくとも一冊は皮膚病理の洋書の成書を持っておいておきたいものです。
普通はLever、Weedon、Mckeeあたりから選ぶことになると思います。
知名度は圧倒的にLeverと思いますが、ぱそ太郎はWeedonをすすめます。理由は記述が充実しているから、また組織像も比較的充実しており、variantについての記載も豊富であるからです。皮膚疾患の組織像は同じ臨床診断名でも組織学的亜型が多く (臨床的意義はさておき)、variantについての記載も多いと実際の診断では有用です。また、Weedonの炎症性疾患のreaction patternによる分類とそこから記載される鑑別診断は、シンプルかつ網羅的で索引しやすいと思います。ちなみに、Leverは意外と記載が簡潔で、組織像も少な目と思います (やや痒いところに手が届かない印象)。他にMckeeも臨床写真が多いという点は良いですが、さすがに50000円越えは個人で買うには高すぎるかなと思います。
Lever's Histopathology of the Skin
- 作者: David E. Elder
- 出版社/メーカー: Wolters Kluwer Health
- 発売日: 2014/09/09
- メディア: Kindle版
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McKee's Pathology of the Skin, 5e
- 作者: J. Eduardo Calonje MD DipRCPath,Thomas Brenn MD PhD FRCPath,Alexander J Lazar MD PhD,Steven D Billings MD
- 出版社/メーカー: Elsevier
- 発売日: 2019/01/18
- メディア: ハードカバー
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Weedon, Lever, Mckeeで比較したときに現時点で、Mckeeが一番新しいという点はそれだけでも優位性があります。せっかく高価な成書を買うなら、新しく最近改訂されたものを買うほうが満足度は高くなります。Mckeeはこの中では臨床写真が最も豊富ですので、特に皮膚科の先生には特によいのかなと思います。そこまで臨床写真に拘らないなら病理医にはWeedonがおすすめです。いずれにせよ皮膚科医、病理医ともにこの3冊のうち1冊は蔵書として持っておきたいですね。洋書はamazonが安いです。
Weedonでもう一つおすすめは、あまり知られていませんが、このWeedon's Skin Pathology Essentialsです。
Weedon's Skin Pathology Essentials, 2e
- 作者: Ronald Johnston MD
- 出版社/メーカー: Elsevier
- 発売日: 2016/07/06
- メディア: ハードカバー
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決して親本を簡略化した本ではなく、こちらは記述こそ少ないですが、キーワードとパターンから、豊富な臨床写真や組織像にたどり着けるという眺めるだけでも楽しい非常に優れた本です。臨床写真との対比で学べるという点では、Weedonの親本とは違った魅力があります。
今回は皮膚病理のおすすめ教科書、洋書編でした。皮膚病理の教科書は和書、洋書を問わず優れた本が非常に充実しており、選ぶ楽しみがあると思います。
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