病理医ぱそ太郎の病理と日常

温泉好きのふつーの若手病理医、ぱそ太郎が病理、医療などについて日々考えることを綴ります。有益な情報を発信できればと思います。ぱそ太郎Lab.

「あたらしい皮膚科学」第3版が発売されました。でも実は他にもおすすめ皮膚科教科書が

学生から医師に至るまで、国内で最も人気があるであろう皮膚科の教科書「あたらしい皮膚科学」の第3版がついに発売されました。 

あたらしい皮膚科学

あたらしい皮膚科学

 

装い新たに黄色になり、優しい印象の装丁です。主に臨床写真の差し替えが主な改訂内容だと思います。良質な多数の臨床写真が掲載されており、病理組織像も組織像がキーとなる疾患では、特徴を掴んだきれいな1枚がバシッと載せてあります。

ただ、もちろん病理の本ではないので、病理医や皮膚科医がこれで病理の勉強したり、実際の病理診断の場面でこれだけで済ますことはできません(弊ブログでは皮膚病理の良書を紹介していますので、ぜひ他のエントリも御覧ください)。

病理医の立場からすれば、皮膚科の疾患概念や病名は馴染みがないものも多く、そういった時に、さっと調べるのに有用と思います。ただ、教科書であるので、治療については詳しくは書かれていません(これは病理医としては困りませんが)。

皮膚科の教科書を何を買おうか迷っている学生さんや、皮膚科の教科書を1冊も持っていないという病理医は、絶対この1冊は買うべきです。ただ前版より前の版を持っている人が買い換える必要があるかというと、それは相対的かなと思います。

(ちなみにぱそ太郎は第一版を学生の時にかって以来、書き込みをして使い込んでいるので、買い直しはしません。ただ、この黄色い表紙はおしゃれで心が動きそうになります)。

 

 実は金芳堂の「皮膚科学」もかなりおすすめです。

皮膚科学

皮膚科学

 

 「あたらしい皮膚科学」が出る前は、1971年初版の金芳堂の「皮膚科学」が体系的に学べるメジャーな皮膚科学のテキストだったと思います。現在改訂を重ね第10版です。この本の何が一番よいかは、疾患の提唱者と提唱年がほぼすべてに記載されていることです。例えば「丘疹-紅皮症症候群 (太藤 1979), 苔癬様続発性紅皮症 (小嶋 1981)」のような感じで記載されています (なお両者の異同についてはぱそ太郎は議論できる立場にありません)。皮膚科は疾患概念が複雑で同じような病態・臨床的概念・あるいは同一スペクトラム上にある疾患に違う疾患名がついていたりすることがあります。また皮膚科医も学んだ環境により同じ病態でも違った病名を使う可能性があります。ですので、この金芳堂は病名からどんな疾患かを調べる、知識を整理するのには最適と考えます。

 

弊ブログでは、皮膚病理の教科書の紹介もしています。よければ御覧ください。

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皮膚病理以外も紹介しています。

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