医師の仕事道具と言われて何が思い浮かべられますか?
普通はまず、聴診器だと思います。他にペンライト、ボールペン、印鑑でしょうか。
印鑑は処方箋に押す必要がありますので、電カル時代になっても使用頻度がかなり高いです。一方ボールペンはめっきり頻度が減っています。
病理医の仕事道具
病理医の仕事道具といえば、顕微鏡はもちろんですが、他にも色々とあります。まずは油性ペン、癌取り扱い規約、WHOのアトラス、その他、成書や教科書、色々なアトラスなどなどでしょうか。電子カルテや、臨床の先生に問い合わせるためのPHSも必要です。
油性ペン
油性ペンと聞いてえッと思われるかもしれません。これは、病変部をプレパラートにマーキングするために使います。顕微鏡を見ながら、自由自在に油性ペンで書けるようになるためには、半年程度の修練が必要と思います。顕微鏡は上下左右対称に見えますので・・・。病理医のポケットには必ず油性ペンが入っています。
マッキーを使っている人が多いように思いますが、いかがでしょうか。
癌取り扱い規約
金原出版から出版される、癌についての評価方法の全国共通の決まりです。各癌種に設定されていますが、取り扱い規約がよく使われる癌種もあれば、取り扱い規約があまり重視されていない癌種もあるように思います。切り出し方法から腫瘍の局在の記載方法、記載すべき組織型や手術材料ではどこをポイントでみるべきかなどが書かれています。最低限、癌取り扱い規約に基づいた報告書の記載が求められます。よく見る臓器については、大体覚えていますが、あまり見ない臓器を診断する際はその都度、本を出して、確認して記載しています。取り扱い規約は日本のローカルルールですが、最近はWHO分類と整合性を持つように作られる傾向があります。最近の流れとしては、たいてい、WHO分類が改定されると数年後に規約も改訂されます。WHO分類も考慮しながら、どう規約に落とし込むかは、規約委員の先生方の間では喧々諤々の議論があるそうです。(パソ太郎は知る由もありませんが・・・・)ちなみに、つい先日、子宮頸癌、体癌の規約が改定されましたね。婦人科はWHO改訂が2014年ですから大体3年後という感じでした。
WHOのアトラス
WHO分類に基づいたアトラスです。最近は、取り扱い規約の分類よりもこちらが重視されることも多いです。特に、そういった領域は乳腺でしょうか。血液はWHOでしかほとんど分類しないと思います。骨軟部腫瘍もそうですね。消化器は癌取り扱い規約のほうがポピュラーです。呼吸器、婦人科は規約がWHOに準じて改訂されてきています。IARCが出版しており、WHO Classification of Tumours of 〇〇 (〇〇は臓器名)という書籍です。各臓器が出版されており、最近は、呼吸器や中枢神経系、泌尿器、頭頚部が改定されました。そして、ついに、待望の血液、リンパ組織編が発売され、日本でももうすぐ手に入ります (アマゾンで予約受付始まっているみたいですね)。ちなみに、ぱそ太郎は、いつもWHOはアマゾンで購入しています。使用頻度という点では、骨軟部が一番です。診断に迷ったら、あるいはどこかで見たことあるけど、この腫瘍何かなという時には最初に開く本ということになると思います。
- 作者: Christopher D. M. Fletcher,Julia A. Bridge,Pancras C. W. Hogendoorn,Fredrik Mertens
- 出版社/メーカー: World Health Organization
- 発売日: 2013/04/30
- メディア: ペーパーバック
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その他、成書や教科書や雑誌などなど
臓器によって、これという成書や教科書がある場合と、決め手にかける場合があります。いい洋書があることもありますし、分野によっては良い和書もあることがあります。最近はよい和書もでています。おすすめの書籍の話をすると長くなるので、それは、今後の記事で取り上げていきたいと思います。雑誌は、商業誌ですが「病理と臨床」やそのバックナンバーは、目は一応通している人が多いのではないでしょうか。
ちなみにこのブログのタイトル「病理と日常」というのは、それを少し意識をしています。
・・と書いていくと病理医の仕事道具は、顕微鏡と油性ペン以外ほとんどは書籍になってしまいましたね。実際、日常で手に触れる頻度としては、確かにそうなってしまうかな・・・とも思います。
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