病理医ぱそ太郎の病理と日常

温泉好きのふつーの若手病理医、ぱそ太郎が病理、医療などについて日々考えることを綴ります。有益な情報を発信できればと思います。ぱそ太郎Lab.

病理医・血液内科医待望の血液・リンパ腫WHO2016 (第四版改訂版)がついに発売されました。

病理医・血液内科医待望の血液・リンパ組織 (リンパ腫)WHO分類2016 (第四版改訂版)がついに発売されました。

(発売後、2017年10月31日追記しました。)

WHO Classification of Tumours of Haematopoietic & Lymphoid Tissues, 4th ed., Revised ed.(amazonで購入可能です)

Who Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues (Iarc Who Classification of Tumours)

Who Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues (Iarc Who Classification of Tumours)

  • 作者: S. Swerdlow,E. Campo,N. L. Harris,E. S. Jaffe,S. A. Pileri
  • 出版社/メーカー: World Health Organization
  • 発売日: 2017/10/31
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る
 

急性白血病、骨髄系腫瘍、lymphomaといった血液疾患の診断に必須のWHO分類2016血液疾患のアトラスが、ついにアマゾンで予約開始になりました。10月31日発売予定になっていますが、すでに、予約が開始されています。

→すでに発売されており、予約した人には届き始めているようです(追記)。

国内代理店を経由する通常の国内書店で買うよりも、価格面で有利なことが多いため(実際、これも現在amazonの方が国内代理店経由の書店より5000円ほど安い)、ぱそ太郎はWHO分類のアトラス含め、洋書はいつもアマゾンで購入しています。

 

WHO分類2016血液・リンパ系腫瘍のここ最近、改訂のポイントなどは研究会や雑誌などで、話題になることも多かったですし、既にBloodのreviewを読まれて、ご存知の方も多いと思います。

ぱそ太郎は、病理医ですので、日本の多くの一般病理医の良くないところですが、リンパ腫は比較的診断機会があっても、白血病、MDS、MPNのあたりは正直診断機会が少なく苦手です。

白血病、MDS、MPNの診断では、今までは血液内科の先生に多くを頼っていましたが、今後は、特にMPNに関しては、WHO2016では骨髄生検の重要性が診断の上で重要性が増しており、病理医も診断に関わることが多くなると思われます。

また、検査室での実務的な対応としては、骨髄線維化のgradingは、今までは鍍銀染色のみで判断していることが多かったと思いますが、MF-2とMF-3のgradingの判断の際にはtrichrome stainが推奨されていますので、鍍銀染色に加えて、ルーチンでマッソントリクロム染色を追加することになると思います。

→発行されたWHOを見てみると写真は鍍銀のものが載っていますが・・(追記)

参考文献

Arber DA, et al. The 2016 revision to the World Health Organization classification of myeloid neoplasms and acute leukemia.

The 2016 revision to the World Health Organization classification of myeloid neoplasms and acute leukemia. - PubMed - NCBI

 

そして、リンパ腫に関しては、実務的にどの程度、診断名を変えていくかということは判断が難しいですが、例えば、High grade B-cell lymphomaに関しては、今まで単にDLBCLとしていたものについても、免疫形質について詳しく検討して、少なくとも所見としては記載する必要があるでしょう。おそらく、MYC, Bcl-2, Bcl-6, CD10, MUM-1の発現についての検討の必要性が増してくるでしょう。そして、どこまでを日常診療で、実際の診断書の診断名として書くかについては、血液内科医との相談が必要と思います。

→発売されたWHOでは、High grade B-cell lymphomaの診断フローチャートがBloodのreviewと少し変更になっています(追記)。

また、消化器の領域で診断名として今後積極的に使いたいのは、十二指腸原発の予後が良い、Follicular lymphomaは、Duodenal-type Follicular lymphomaという独立した単位になっていますので、消化器の生検診断ではこれを使う機会が増えると思います。

また、Helicobacter pyloriに関連するMALT lymphomaを結局、どう記載するかについては、(どのように診断名として記載する流れになるか)、非常に気になっていますがしばらく様子見でしょうか (以下の参考文献にはこの点は書かれていないと思います)。

→ 出版されたものを見てみました、Helicobacter pylori-associated clonal proliferationのような疾患単位は掲載されておらず、当面、MALT lymphomaの診断のままで良さそうです (追記)。

 

すでに読まれている方が多いと思いますが、改訂のポイントも下記の参考文献がわかりやすいです。

参考文献

Swerdrow HS, et al. The 2016 revision of the World Health Organization classification of lymphoid neoplasms.

The 2016 revision of the World Health Organization classification of lymphoid neoplasms. - PubMed - NCBI

 

WHO分類2016 (血液・リンパ組織)は、病理医、血液内科医必携と思います。

 (ぱそ太郎は洋書はamazonで購入しています。)

WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues (World Health Organization Classification of Tumours)

WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues (World Health Organization Classification of Tumours)

  • 作者: Steven H. Swerdlow,Elias Campo,Nancy Lee Harris,Elaine S. Jaffe,Stefano A. Pileri
  • 出版社/メーカー: World Health Organization
  • 発売日: 2017/09/29
  • メディア: ペーパーバック
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 ちなみに最近改訂されたWHOはいずれもAmazonで購入可能です。

Who Classification of Tumours of Endocrine Organs (World Health Organization Classification of Tumours)

Who Classification of Tumours of Endocrine Organs (World Health Organization Classification of Tumours)

  • 作者: Ricardo V. Lloyd,Robert Y. Osamura,Gunter Kloppel,Juan Rosai
  • 出版社/メーカー: World Health Organization
  • 発売日: 2017/07/26
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る
 

 内分泌臓器では、膵臓のNETについてNET G3の概念が掲載されていることが重要と思います。

 

病理の書籍紹介として、こんな記事も書いています。

www.patho-spa.com

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